2016年冬の、あしやティアフル映画祭ポスターに添えた一文です。
これまで千葉はなさんは、映画の読み聞かせをするゲストとして映画祭に出演していました。
千葉さんがナレーションをした最初の作品は、ドイツの「わすれられないおくりもの」。
ほんの少しなまりが残ったその美しい声は、お客さまの心に深く届きました。
千葉さんとの一番の思い出は、一緒に絵本を作ったことです。
僕が文を書いて、千葉さんが絵を描いて。
10周年ライブのすぐあとから始めた、互いに初めての絵本作り。
千葉さんの解釈はとても独創的で、その絵の世界観は特別なものでした。
何度も何度も意見を交わして、少しずつ一つの物語になっていきました。
入稿したのは、クリスマスイヴでした。
そして、新しい年と共に届いた、小さな絵本「NAVEL ネーブル」。
実物を手渡すと、千葉さんは少女のように喜んでいました。
その夜、千葉さんが僕の家に来て、家族と一緒にごはんを食べました。
リビングには、羊毛とおはなが流れていました。
帰り道、芦屋川の畔を歩きながら、将来のことを話しました。
千葉さんには、やりたいことがたくさんありました。
次の映画祭で歌いたい、とも言いました。
翌日、千葉さんのとある書き込みを見つけました。
その内容に、僕はうれしくて泣きそうになりました。
千葉さんの誕生日には、絵本を贈っていました。
最後の一冊は、「はなのすきなうし」でした。
また千葉さんに会って、声が聴きたいです。
あしやティアフル映画祭 矢野数馬